育休明けの「ポンコツ期」を「キャリアの飛躍期」に変える思考法

3か月ぶりに復帰した職場。
育休前は、もっと仕事ができたはずなのに…
理想とは裏腹に、心身が全くついてこない…
会議のスピードについていけない…
定時で終わらせることができない罪悪感や「自分はポンコツだ」という無力感に悩む日々…
でも、その“ポンコツ感”は、あなたの退化の証ではなく、新しい働き方へ進化する過程だとしたら?
本記事は、過去の私と同じように、育休を経験したからこそ、まさにキャリアの壁に悩む父親に向けて書きました。
読み終える頃には、その苦しみが「希望」に変わることを願いつつ、「コレは!」と思えることがあれば、ぜひ行動してみましょう。

ワーママさん向けではないので、ご注意を。
この記事をかいた人(サラット)

- 都内在住の二児(長男3歳・次男0歳)の父
- 教育業界にて会社員歴12年目
- 育休を2回取得(1回目:1か月、2回目:6か月)
- 営業職→企画職へ転職&フルリモート勤務を実現
- 年間の読書量は50冊以上
- 詳しいプロフィールは”コチラ”
育休明けに「自分はポンコツだ」と思ってしまう3つの原因

まず、「一体どうしてしまったんだ…」と自分を責めるのは、今日で終わりにしましょう。
あなたが今感じているパフォーマンスの低下は、個人の能力や意欲の問題では決してありません。

むしろ、育児に真剣に向き合ったからこそ生じる、極めて自然な現象だと私は思うのです。
ここでは、なぜ自分を“ポンコツ”だと感じてしまうのか。
男性特有の3つの避けられない原因を解き明かしていきます。
脳が「仕事モード」から「父親モード」になっているから
育休明けに頭が働かないのは、脳が「仕事モード」から子を守る「父親モード」に切り替わっているからです。
育児中は、子どもの些細な変化に気づき、危険から守るべく、脳は常に警戒し、共感を司る機能が優位に。
一方で、論理的思考や集中力を要する仕事脳は、一時的にその活動が抑制されます。
この「父親モード」の脳は、育休が終わったからといって、すぐに「仕事モード」に切り替わるわけではないのです。
それはまるで、最新ゲーム機で、古い業務用ソフトを動かすようなもの。
ハード(脳)の設計思想が違うため、ソフト(仕事のスキル)が本来の性能を発揮できなくても不思議はありません。

育休明けても、育児は終わってないからね。簡単に切り替えられるなら苦労はしない…
残業に頼る働き方が通用しなくなるから
育児という時間的制約で、時間投入型の仕事のやり方が難しくなったことも、パフォーマンス低下の大きな原因です。
多くの場合、残業は仕事の遅れや複雑な課題を解決するための「バッファ」として機能していました。

でも育休復帰後は、保育園のお迎えなど、絶対に動かせない時間的制約が生まれますよね…
「いざとなったら残業すればいい」という無意識の頼りが奪われ、仕事の進め方を変えざるを得なくなるのです。
パワー重視のレーシングカーが、燃費制限の厳しいレースに参戦するようなもの。
アクセルを全開にする戦い方ができないため、走り方そのものを根本から見直さない限り、レースに勝つことはできません。

自分の仕事は残業で支えられていたんだな…って育休明けに実感する人もいるのでは?
プライドが邪魔して助けを求められないから
「父親になった」というプライドが助けを求めることを妨げ、結果的に一人で問題を抱え込み状況を悪化させます。
特に、これまで仕事で成果を出してきた人ほど、「できない自分」を認めることに強い抵抗を感じます。
周囲に「ポンコツだと思われたくない」という気持ちが先行し、「大丈夫です」と強がってしまうのです。
しかし、客観的に見れば助けが必要な状況で孤立を選ぶことは、最も非合理的な選択と言えるでしょう。
雪山で遭難しているのに、プライドが邪魔で助けを呼べない状態に似ています。
的確なヘルプを求める判断力こそが、本当に重要な能力であるにもかかわらず、それを見失ってしまっています。

育休前より仕事に追われている感がある人ほど気を付けた方が良いかもしれません。
発想の転換:“ポンコツ感”は新しい働き方へのサイン

今の苦しみは、あなたがダメになったからではありません。

寧ろ、持っていた古い働き方の価値観が、今の生活に合わなくなっているというサインかも。
ここでは、その“ポンコツ感”という逆境を、キャリアを飛躍させる力に変えるための新しい視点を提案します。
悲報:あなたの知る「エース社員の働き方」は、もう通用しない
まずは、残業に頼っていた育休前の働き方が、今の自分には通用しないと認めること。

上記の認識が、新しい働き方への第一歩です。
かつて無限にあるように使えた「時間」という資源は、育児によって、最も希少で貴重な資産へと変わっているはず。
豊富にある資源を前提とした成功モデルは、その資源が枯渇した環境では根本的に成り立ちません。
それは、豊富な石油だけに頼って経済を成り立たせてきた国のようなもの。
ひとたび資源が枯渇すれば、今までの成功モデルは完全に崩壊。経済の仕組みそのものを一から作り直すしかありません。

時間がないという状況そのものを受け入れましょう。話はそれからです。
朗報:「時間制約」は生産性アップの起爆剤
今あなたを苦しめる「時間制約」は、実は生産性を飛躍させる最高の起爆剤です。
時間が有限だと認識させられると、人は自ずと「本当に重要なことは何か?」を真剣に考えるようになります。
その結果、重要でない作業は捨てざるを得なくなり、自然と本質的な仕事にだけ集中力が高まるのです。
これは、俳句や短歌のように文字数に厳しい制約がある方が、かえって豊かな表現が生まれることに似ています。
制限があるからこそ言葉は磨かれ、より無駄のない表現が生まれるのです。

「時間制約」の効能は下記の書評記事とも関連します。詳細を知りたい人はどうぞ!

比べる相手は「昨日の自分」だけ
この苦しい時期を抜けるためには、状況が全く違う同僚や、住む世界が違った過去の自分と比べるのをやめるべきです。
唯一、意味のある比較対象は「昨日の自分」だけです。
異なる条件下にいる他者や過去の自分との比較は、全く無意味な精神的消耗戦でしかありません。
あなたの状況は唯一無二なのだから、他人のゴールではなく、自分自身の成長だけを測りましょう。
マラソンランナーが、常に先頭を走るトップ選手ばかり見ていたら、ただ絶望するしかありません。
賢明なランナーは、自分のペースや呼吸、そして昨日の自分の記録を更新することに集中します。
それこそが、持続的な成長と満足に繋がる唯一の方法なのです。

「昨日よりも良い1歩」が継続できれば、ある日突然大きな成長が実感できるでしょう。
ポンコツ期から脱出する、たった3つの生存戦略

ここからは、いよいよ実践編です。
苦しい「期間」をただ耐え忍ぶだけでは辛いだけ。
これを積極的に乗り越え、新しい自分へと生まれ変わるための具体的な戦略をお伝えします。

私が2度の育休と試行錯誤の末にたどり着いた、再現性の高い3つの方法です。
戦略1:「才能」で勝負する
短時間で成果を出すには、「努力」や「根性」ではなく、無意識にできる「才能」の領域で勝負するのが最も賢明です。
人にはそれぞれ、生まれ持った思考のクセや得意なことがあります。それを「才能」と呼びます。
自分が苦労せずとも自然にできてしまうことは、他人が多大な努力をしてもなかなか到達できない領域だったりします。
限られた時間の中で成果を出すには、この才能を活かせる仕事にリソースを集中投下するのが最も効率的!
魚に「木登りをしろ」と言っても無理な話で、魚の才能は、水中でこそ発揮されるもの。
あなたも、自分が最もスムーズに泳げる「領域」を見つけ出し、そこで戦うべきなのです。

「自分に才能なんてないよ…」という方は、下記の書評記事に飛んでみてください。

戦略2:神ツール「オーディオブック」で“ながら学習”
通勤や家事の「ながら時間」で学べるオーディオブックは、時間のない育休明けパパの最強の味方です。
育休復帰後は、かつてのように机に向かって本を読むような、まとまった学習時間を確保することが難しいです。
しかし、オーディオブックなら、両手が塞がっていても、移動中でも、インプットを止める必要がありません。
これにより、社内外の環境変化へのキャッチアップ、新しい働き方を学ぶための知識武装を効率的に進められます。
スキマ時間の活用は、まさに「チリも積もれば山となる」戦略。
蛇口から落ちる水滴がやがてバケツを満たすように、日々のインプットが大きな知識に繋がるのです。

色々なタイミングで使えますよ。気になる人はコチラの記事もオススメです。

戦略3:「やらないこと」を決める勇気を持つ【仕事の断り方】
限られた時間で重要なことをやり切るには、「やること」以上に「やらないこと」を明確に決め、それを守る勇気が不可欠。
時間は有限であり、すべてをやろうとすれば、すべてが中途半端に終わります。

これは、育休復帰後の時間的制約がある状況では、より顕著です。
不得意な仕事を断り、得意な仕事に集中すれば、組織への貢献度も自ずと高まります。
優れた彫刻家のように、仕事でも不要なタスクを「削り取る」視点が不可欠です。
それこそが、本当に価値のある成果に繋がります。

「自分の時間は自分で守る」という意識を頭に刻みつづけましょう。
よくある質問とその回答

ここでは「育休明けのポンコツぶりから抜け出したい」と思う男性の、よくある質問に答えていきます。
- Q1:仕事の苦しさや焦りを、妻にどう伝えればいいですか?
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まずは育児や家事を担ってくれることへの感謝を伝えた上で、「以前のように働けず、正直焦っている」と素直な気持ちを共有することが大切です。現状の課題と、それに対してどう改善しようとしているかをセットで話すことで、前向きな相談として受け入れてもらいやすくなります。
- Q2:上司に相談すると、やる気がないと思われそうで不安です。
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「限られた時間で成果を最大化したいので、ご相談です」というポジティブな枕詞を添えるのが有効です。できない理由を並べるのではなく、自身の強みを活かせる業務に集中したいなど、組織貢献への意欲を示すことで、前向きな姿勢として評価されやすくなります。
- Q3:子どもがいない同僚からの「早く帰れていいね」という視線が気になります。
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全員に理解を求めるのは難しいと割り切りましょう。むしろ、早く帰る分、日中の集中力で貢献したり、同僚が困っていたら積極的に手伝ったりと、行動で示すことが信頼に繋がります。折に触れて感謝の言葉を伝え、謙虚な姿勢を保つことが何よりの処方箋です。
- Q4:新しい働き方を始めたいのですが、具体的な第一歩は何をすればいいですか?
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まずは朝一番に、その日「絶対にやらないこと」を一つだけ手帳に書き出してみてください。「意味のない定例会議でだらだら発言しない」「安請け合いしない」など小さなことで構いません。何かを足すのではなく、引くことから始めるのが、変化を生む最も簡単な一歩です。
- Q5:新しい働き方を試してもうまくいかない日があり、落ち込んでしまいます。
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うまくいかない日があるのは当然で、それは新しい挑戦をしている証拠に他なりません。完璧を目指さず「今日はダメな日だった。でも、それでいい」と事実だけを認めましょう。自分を責めずに早く寝てしまうのが、次の日に向けた最善の回復策となります。
- Q6:このポンコツだと感じる時期は、いつまで続くのでしょうか?
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個人差はありますが、多くの場合、新しい働き方のリズムを掴むのに三ヶ月から半年ほどかかるようです。焦る必要はありません。季節が巡るように、心と体の状態も変化します。今はトンネルの中にいると感じても、必ず抜け出す日が来ると信じることが大切です。
- Q7:次の評価面談が、成果を出せていないので正直怖いです。
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面談では正直に現状の制約を伝え、その中でどう成果を出そうと工夫しているかを具体的にアピールしましょう。成果の量だけでなく、生産性を上げるための試行錯誤という「質の変化」を語ることで、上司もあなたの長期的な成長に期待してくれるはずです。
- Q8:すぐに成果が見えないため、新しい働き方を続けるモチベーションが保てません。
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短期的な成果が出ないのは当然です。今は、成果を出すための土壌を耕している時期だと考えましょう。昨日より五分早く仕事を終えられた、一つの仕事を断れたなど、ごく小さな「できたこと」を手帳に記録し、自分の進歩を可視化することが有効です。
- Q9:自分の「才能」が、今の仕事内容と全く合わない場合はどうすれば?
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今の業務の中で、少しでも自分の才能を活かせる部分がないか探してみましょう。例えば、情報をまとめる才能があるなら、チームの議事録作成で貢献するなどです。小さな領域から始め、徐々に得意な仕事の割合を増やしていくのが現実的な戦略となります。
- Q10:オーディオブックでは、具体的にどんなジャンルの本を聴くのがおすすめですか?
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まずは具体的な時間術や生産性向上のノウハウ本で、すぐに試せる知識を得るのがおすすめです。気持ちが落ち込んだ時には、偉人の伝記や、自分の悩みを肯定してくれるような自己啓発系の本を聴くと、明日への活力が湧いてくるので試してみてください。
まとめ:育休明けの絶望は次への「成長痛」

育休明けに感じる“ポンコツ感”は、決してあなたが劣化した証拠ではありません。
それは父親として子供に向き合った勲章であり、古い働き方が終わって新しい時代が始まるサインなのです。
今は深い絶望の只中にいるかもしれませんが、その苦しみは新しい働き方へアップデートするための「成長痛」。
時間や能力の制約が、本質を考え、才能を探すきっかけとなり、その痛みが次のステージへのエネルギーに変わります。
だから、どうか自分を責めないでください。
この絶望は、古い価値観から脱し、より自由な場所へ飛び立つための準備期間。
これをキチンと乗り越えた時、あなたには明るい未来が待っているはずです!

私も似たような経験をしました。気になる人は下記よりどうぞ!
