【書評】4063の科学データが導くあなたに本当に合う時間術”YOUR TIME”

仕事の責任は増す一方で、家に帰れば育児と家事で一日が終わる…。
私の時間、いったいどこに行ったんだろう?
そんな風に、ため息をついていませんか?

私も増え続けるタスクと終わらない残業に、「もう限界かもしれない…」と悩んだ時期があります。
世間で話題の時間術を試しては、「効果が出ない…」と挫折を繰り返す日々。
そんな時に出会ったのが、今回紹介する鈴木祐さんの『YOUR TIME』です。

本書を読んだところ、
“万人に効く時間術はない”という衝撃の事実や、膨大なデータに基づいた“自分だけの時間との付き合い方”を見つける具体的手法は、まさに目から鱗でした。
本記事では、実際に『YOUR TIME』を読んで「これこそ本当の時間術だ」と感じた私の学びや感想をまとめました。

もし、あなたもこれまでのやり方に限界を感じているのなら、ぜひこの先を読み進めてみてください。
「YOUR TIME 4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術」はオーディオブックサービスaudiobook.jpを使えば、家事や育児をしながら聴けます。
audiobook.jpに興味のある人は、コチラの記事も参考にしてください。

この記事をかいた人(サラット)

- 都内在住の二児(長男3歳・次男0歳)の父
- 教育業界にて会社員歴12年目
- 育休を2回取得(1回目:1か月、2回目:6か月)
- 営業職→企画職へ転職&フルリモート勤務を実現
- 年間の読書量は50冊以上
- 詳しいプロフィールは”コチラ”
今回紹介する本:「YOUR TIME」

『YOUR TIME 4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術』
この本は、単なるテクニック集ではありません。
- そもそも、私たちにとって時間とは何なのか?
- なぜ、万人に効く時間術は存在しないのか?
といった根源的な問いから出発。
科学的なデータに基づいて「あなた個人に最適化された時間術」を見つけるための思考法を教えてくれます。
小手先のテクニックではなく、時間という概念そのものへの解像度を上げ、人生の幸福度を高めることを目指す一冊です。

「時間とは何か?」というそもそも論が好きな人は、興味深く読み進めることができるでしょう。
書名 | YOUR TIME 4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術 |
著者 | 鈴木 祐 |
出版社 | 河出書房新社 |
発売日 | 2022年10月 |
貢数 | 288貢 |
- 鈴木祐さんってどんな人?
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著者の鈴木祐(すずき・ゆう)氏は、10万本もの科学論文を読破し、600人以上の専門家へ取材を重ねる科学ジャーナリストです。
ご自身のブログ「パレオな男」は月間250万PVを誇り、『最高の体調』や『科学的な適職』など、科学的エビデンスに基づいた数々のベストセラーを生み出しています。
個人の体験談ではなく、膨大なデータから「事実」を導き出す専門家だからこそ、本書の主張には絶大な信頼が置けます。
あなたの時間術を根底から変える5つの核心

本書は、あなたの時間術探しの旅を終わらせる、まさに「決定版」と言える一冊。
膨大な情報が詰まっていますが、ここでは特に「これを知るだけで人生が変わる」と私が感じた5つの核心に絞って解説します。

この5つを理解すれば、もう時間術選びで迷うことはなくなるはず。
なぜ、あなたの時間術は効果が出ない?3つの不都合な真実

「時間術で生産性を上げよう!」と意気込んでも、なぜか仕事は楽にならず、タスクに追われて疲れるばかり…

あなたにも、上記のような経験はありませんか?
本書は、その原因があなたにあるのではなく、私たちが信じてきた「時間術の常識」そのものにあると指摘します。
冒頭で語られるのは、時間術にまつわる「3つの不都合な真実」です。
- 時間術を駆使しても仕事のパフォーマンスはさほど上がらない
- 時間の効率を気にするほど作業の効率は下がってしまう
- 「時間をマネジメントする」という発想の根本に無理がある
特に私が衝撃を受けたのが、1つ目の「時間術を駆使しても仕事のパフォーマンスはさほど上がらない」という事実。
しかし、本書では多くの研究で、時間術の本当の効果は仕事の成果ではなく、取り組んだ本人の”仕事への満足度”の上昇だけと結論付けられています。

つまり、時間術の効果で狙いがちな”パフォーマンス向上”は単なる「副産物」ということ。
時間術とは、人生の幸福度を高めるための技法だったのです。
あなたも「生産性アップ」という、本来とは違うゴールを追いかけてしまっていたのではないでしょうか?
時間の正体とは?脳が生み出す「主観的な感覚」だった

時間術の常識が覆されたところで、本書はさらに核心的な問い「そもそも時間とは何か?」に踏み込みます。
私たちは時間を「過去から未来へ流れる川」のように客観的なものだと考えがちです。

故に「時間に追われる」「時の流れに身を任せる」といった受け身の表現を使ってしまいますよね。
しかし本書は、その常識を根底から覆します。
時間に客観的な実体はなく、すべては脳が生み出す主観的な感覚であると断言するのです。
時計が刻む一秒は、あくまで物理的な現象にすぎず、私たちが感じる「時間の長さ」や「速さ」は、脳が作り出した物語なのです。
では、どうやって脳は時間という感覚を生み出しているのでしょうか。

本書によれば、私たちの脳は目の前の出来事に対し、絶え間なく高速である処理を行っているようです。
それは、「次に何が起こるか?」という未来の予測と、「その直前に何があったか?」という過去の再構築。
この無数の予測と再構築の連鎖こそが、私たちが「時間が流れている」と感じる感覚の正体だというのです。
この衝撃的な事実は、時間術に対する考え方を180度変えてしまいます。

もし時間が脳の主観的な感覚ならば、前提が変わってしまいますもんね。
私たちは時間そのものを管理するのではなく、自分自身の脳の「時間感覚」を調整できる可能性が見えてくるということです。
この視点こそが、次の核心である「予期」と「想起」の理解につながります。
万人共通の時間術はない!鍵は2つの時間感覚”予期”と”想起”

時間の正体が脳の主観的な感覚である以上、その感じ方には個人差が生まれます。
その差を生むのが、未来への意識「予期」と過去への意識「想起」という2つの時間感覚です。
「予期」とは、未来をどれだけリアルに、そして具体的に思い描けるかという感覚のこと。
この感覚は、2つの基準によって個体差が生まれます。
- 基準1:未来とのつながりの強さ(濃い or 薄い)
- 濃い人:未来を強く意識できるため、長期的な計画も得意なストイックタイプ。一方で、計画に固執しすぎて融通が利かなかい、目の前の楽しみを犠牲にする傾向も。
- 薄い人:未来を遠いものと感じるため、今を楽しむのが得意。しかし、時間の見積もりが甘い、長期的なプロジェクトが苦手な傾向も。
- 基準2:将来のイメージの量(多い or 少ない)
- 多い人:頭の中に「やるべきこと」が溢れている状態。多くの可能性に気づけますが、意識が分散し、一つ一つのタスクに集中しにくいのが難点。
- 少ない人:将来のイメージが乏しく、良くも悪くも物事に執着しない。ストレスは少ないが、行動を起こすモチベーションが湧きにくい傾向も。
これら2つの基準の組み合わせから、「禁欲家」「容量超過」「浪費家」「無気力」という4つのタイプに分類されます。
「想起」とは、過去の経験をどのように思い出し、現在に活かすかという感覚です。
こちらも、2つの基準で特徴が決まります。
- 基準1:記憶の正確さ(正しい or 誤りを含む)
- 正しい人:過去を正確に記憶するため、現実的な計画を立てるのが得意。ただし、失敗も鮮明に記憶しているため、否定的な感情に囚われることも。
- 誤りを含む人:記憶が曖昧なため、過去の失敗を気にせず前向きでいられる。しかし、同じミスを繰り返したり、非現実的な計画を立てるリスクも。
- 基準2:過去の捉え方(肯定的 or 否定的)
- 肯定的な人:過去をポジティブに捉えるため、モチベーションが高く、行動的。反面、自分を過信して無謀な判断を下してしまう危険性も。
- 否定的な人:過去の失敗から慎重に行動できるのが強み。しかし、必要以上に時間を多めに見積もったり、新しい挑戦に臆病になったりしがち。
これら2つの基準から、「自信家」「楽天家」「怖がり」「悲観主義」という4つのタイプに分けられます。
この「予期」と「想起」のバランスが人によって全く違うからこそ、万人に効く時間術は存在しないのです。

つまり、自分のタイプを知ることこそが、最適な時間術を選ぶための唯一のコンパスとなります。
診断で判明!筆者のタイプと最適なアプローチ

「理論はわかったけれど、自分のタイプはどうやって知ればいいの?」と疑問に思いますよね。
ご安心ください。
『YOUR TIME』では、書籍内のQRコードからアクセスできる診断テストを用意。これが本書の価値を何倍にも高めています。

勿論、私も診断しました。幾つかの質問に直観的に答えるだけなので簡単です。
- 私(サラット)の診断結果はコチラ
-
私の診断結果は未来への意識が【容量超過タイプ】、過去への意識が【自信家タイプ】でした。
容量超過タイプ(予期が濃くて多い)
時間をうまく使えていたとしても、常に脳内がタスクで溢れているため、焦りや不安が収まらない。
効果が出やすい時間術は下記の通り。
- 自分のためだけの時間を強制的に確保する(例:プレコミットメント)
- 無数に浮かぶタスクの価値を見極め、重要でないものから手放すこと(例:SSCエクササイズ)
自信家タイプ(想起が肯定的で正しい)
時間の使い方で問題が起きにくい反面、過去を肯定的に捉えすぎるあまり、自分の能力を過信してしまう副作用に注意が必要。
効果が出やすい時間術は下記の通り。
- 自分の失敗を思い起こす作業を繰り返す(例:誘惑日記、タイムログ・アドバンス分析)
まあまあ合っています(結果を見せるのは恥ずかしい)
このように、診断で自分を客観視することで、
- なぜ今まで上手くいかなかったのか
- 本当に必要なアプローチは何か
ということが明確に見えてくるでしょう!
警告:時間術を極めても「幸せ」にはなれない理由

自分に合う時間術が見つかっても、それだけでは本当の幸せは訪れません。

本書は「時間術を極めること」と「幸せになること」は別問題だと指摘しているんですよね。
なぜなら、「生産性アップ」や「効率化」へのこだわりこそが問題の根源だから…
効率化を追い求めると、メンタルが病み、逆に生産性が下がり、結局もっと忙しくなるという悪循環に陥ると本書ではいいます。
ではどうすればいいのか?
本書が説くのは、時間術の目的を「効率化」から「人生の歩み方」へシフトすることです。
それは、まず「自分にとって本当に価値のあることは何か?」と問うことから始まります。
つまり、時間術の真の目的とは、「自分は、この人生という時間を使って何を成し遂げたいのか?」という最も重要な問いに答えるためのツールなのです。
本書は単なるノウハウ本ではなく、生産性の呪縛からあなたを解き放つ哲学書でもあるのです。
この本がオススメな人

本書は、特に次のような悩みを抱えている人にこそ手に取ってほしい一冊です。
もし一つでも当てはまるなら、本書はタイトル通り、あなたの「最後の時間術」になる可能性を秘めています。
本書が教えてくれるのは付け焼き刃のテクニックではなく、あなた自身の時間感覚という「OS」を深く理解し、自分仕様にアップデートする方法です。

この一冊が、あなたの本棚に並ぶ最後の時間術の本になるかもしれません。
この記事のまとめ

今回は、鈴木祐さんの著書『YOUR TIME』をご紹介しました。
本書が教えてくれる最も重要なメッセージは、「万人に効く魔法の時間術など存在しない」という事実。
本当に知るべきは新しいテクニックではなく、未来への意識「予期」と過去への意識「想起」から成る、自分自身の「時間感覚のクセ」なのです。
自分のタイプを知り、最適なアプローチを選んで「生産性」の呪縛から解放されれば、その先に本当に求めていた「心の余裕」と「満足度」が見えてきます。
もしあなたが今、時間に追われ自分を見失っていると感じるなら、それはあなたに能力がないからではありません。
ただ、自分だけの「方法」が見えていなかっただけ。

ぜひ本書を手に取り、あなただけの時間との付き合い方を見つける旅を始めてみてください。

「YOUR TIME 4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術」はオーディオブックサービスaudiobook.jpを使えば、家事や育児をしながら聴けます。
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