【書評】「もう時間がない」と嘆く前に”自分の時間を取り戻そう”

子どもが生まれてから「自分の時間」がなくなった…
仕事は年々責任が重くなり、家に帰れば育児と家事をするのみ…
毎日が“こなすだけ”で終わり、自分の人生について考える余裕すらない…

忙殺される毎日だと「このままでいいのか?」と焦りますよね…
将来的に、管理職の道を進めば進むほど忙しくなることは明白。
でも、家庭とのバランスはとり続けたい…
そう感じた私には、時間術系の本を30冊以上読み漁った時期があります。
今回紹介する『自分の時間を取り戻そう-ゆとりも成功も手に入れられるたった1つの考え方』も、その中の1つ。

内容が私に、とっても刺さった本です。
本書は「生産性」という軸をもとに、自分の時間や働き方を見直す大きなヒントを得ることができる1冊。
家庭を重視しつつも価値を生み出すための考え方、今後のキャリアをどう築くかという視点で大きな学びがありました。
この記事では、実際に『自分の時間を取り戻そう』を読んだ私の感想と気づきをまとめています。

内容が少しでも気になった方は、ぜひ最後までご覧ください。
「自分の時間を取り戻そう-ゆとりも成功も手に入れられるたった1つの考え方」はオーディオブックサービスaudiobook.jpを使えば、家事や育児をしながら聴けます。
audiobook.jpに興味のある人は、コチラの記事も参考にしてください。

この記事をかいた人(サラット)

- 都内在住の二児(長男3歳・次男0歳)の父
- 教育業界にて会社員歴12年目
- 育休を2回取得(1回目:1か月、2回目:6か月)
- 営業職→企画職へ転職&フルリモート勤務を実現
- 年間の読書量は50冊以上
- 詳しいプロフィールは”コチラ”
今回紹介する本:「自分の時間を取り戻そう」

『自分の時間を取り戻そう-ゆとりも成功も手に入れられるたった1つの考え方』
2016年の出版でありながら、時代が進んだ今でもなお、多くの人にとって本質的な気づきを与えてくれる一冊です。

「たった1つの考え方」とは、生産性を高めるという視点。
著者は、多忙な現代人の行動様式に疑問を投げかけ、
限られたリソース(時間・お金)でいかに成果を出すか。つまり、「生産性を高める」ことこそ、ゆとりと成功の両立に必要だと説きます。
内容は堅苦しくなく、身近なたとえ話や具体例がメイン。
スラスラ読めるのに、読むほどに背筋が伸びるような力を感じます。
書名 | 自分の時間を取り戻そう-ゆとりも成功も手に入れられるたった1つの考え方 |
著者 | ちきりん |
出版社 | ダイヤモンド社 |
発売日 | 2016年11月 |
貢数 | 264貢 |
- ちきりんとはどんな人?
-
本書の著者・ちきりん氏は、元外資系企業勤務のビジネスパーソンで、現在は社会派ブロガーとして高い人気を誇ります。
代表的な活動であるブログ「Chikirinの日記」では、社会をテーマに独自の視点で発信。
複雑な問題を分かりやすく言語化する力や、「本質を突く切り口」が持ち味で、読者の視野を大きく広げてくれます。
私はちきりん氏の文体が結構好きで、本書以外の作品も読んでいます。中々面白いです。
「自分の時間を取り戻そう」から感じたこと

本書を読んで真っ先に私が感じたのは、
「これは、子育てと仕事の両立に疲れている人を応援する本か?」という感覚です。
とくに、育児中の親が抱えがちな「時間が足りない」「このままでいいのか」という葛藤に、考え方や実践的な視点が刺さります。
以下では、「子育て世帯で仕事と家庭・育児の両立を目指す人々の背中を押してくれる本」と感じる理由を、5つの観点からご紹介します。
序章の「忙しすぎる人たち」って自分のこと??

本書の序章では、「忙しすぎる」人たちが4人登場します。
彼らはまるで、現代を生きる私たちの“鏡”のような存在です。
中でも、部下を持った会社員男性の事例に、私は未来の自分を重ねずにはいられませんでした。
仕事が増えるにつれて…
自分のスケジュール管理が崩れる…
集中できる時間は深夜しかなくなる…
後輩のフォローにも追われる…
上記は、「管理職」という肩書きと引き換えに、自分の時間や心の余裕を奪われている現代の働き方そのもの。

序章で、「あ、自分だけじゃないんだ」「この状況は“異常”かも」と冷静に見つめ直せます。
著者はこの「共感」を起点に、「なぜ時間がなくなるのか?」「どうやって取り戻すのか?」という問いへと読者を導いていきます。
生産性とは?-著者の定義とワーママの生き方から学ぶ

著者は本書の中で、「生産性が上がる」ことと「その計算方法」を下記の通り定義します。
「生産性が上がる」とは
あらゆる資源の活用度合いが高まること、あらゆる資源が、今までよりも有効に使われることを意味する
生産性の計算方法
「生産性」=得られた成果/投入した希少資源=アウトプット/インプット
生産性を語るうえで大事なのは、投入した希少資源、つまりインプットです。
私たちにとって分かりやすいのは「お金」と「時間(著者は”頭が働く時間”をさらに重要視します)」です。
つまり、生産性とは“限られた資源(お金・時間)”を、どれだけ成果につなげられるかで評価されるということです。
この定義をもとに語られるのが、「今、日本で最も生産性が高いのはワーキングマザーである」という主張です。
家事・育児・仕事の責任を担い、予定外トラブル(子どもの発熱など)にも対応しながら、限られた時間で成果を出す。
その姿こそ、まさに「制限の中で最大のアウトプットを出す」という生産性の体現者だと著者は言います。

共感しつつ、「父親として、自分もこの視点で働かなくては」と背筋が伸びました。
会社員である私も、家庭を持ち、時間が限られている立場。
だからこそ、“いかに効率よく成果を出すか”を常に考え、働き方をアップデートする必要があると強く感じさせられます。
“こなすだけの仕事”は、キカイに奪われていく

本書が執筆されたのは2016年。

当時はまだ生成AIもなく、今ほど自動化やAIによる業務代替が目立たなかった時代。
それでも著者は、ホワイトカラーの“時間投入型の仕事”の多くが、今後機械に置き換えられていくことを鋭く示しています。たとえば…
大量の資料を読み込み、情報をまとめる仕事
ひたすら数値を整理し、判断材料を揃える仕事
子どもに掛け算や割り算を教える仕事
上記のように「時間をかければ誰でもできる仕事」は、まさに機械の得意分野。
24時間不眠不休・正確で膨大な処理ができるAIが担う方が、人間よりも、よほど生産的であるのは明白です。

残業で対応していた単純作業も今や、安くて早いキカイに益々置き換わる。人がやっても評価は低そう…
一方で、著者は「人と向き合い、関係性を通じて価値を生み出す仕事」こそが、これからの時代に残ると指摘します。
- 飲食店のオーナーが常連客の好みを覚えてサービスを工夫する
- 収納アドバイザーが依頼主の生活背景を丁寧に聞き取りながら提案する

キカイに置き換わっても、あんまり生産性が上がらないってことがポイント。
上記のような仕事は、単なる手順や正解の提供ではなく、文脈や相手の感情を読み取る“人間的なやりとり”が本質です。
加えて、最近の生成AIは人間らしい振る舞いもできつつあり、怖いレベル。
だからこそ私が思うのは、「その人らしさ」や「誰がそれを言うのか」といった個のニュアンスが、今後ますます価値になるのではないかということ。
つまり、同じ情報や提案でも、“あなただからこそ伝わる・意味がある”という関係性や空気感まで落とし込めるかが今後の勝負所だと感じます。

膨大な時間を使う仕事ほどキカイに置き換えられてしまうなら、その道を極める意義は薄いかもしれませんね。
会社に最適化しない-評価の軸を“市場”に置き換える思考転換

私たちは無意識に、「今の会社でどう評価されるか」を基準に働き方を選びがちです。
しかし著者は、このような“組織内評価”への最適化が、私たちの生産性向上を妨げていると警鐘を鳴らします。
日本企業には、下記のような価値観が未だに根強く残っています。
長く働いている人が偉く見えてくる
残業している人が頑張っているように見える

今も、残業が多い方や、時間をかけて問題を解決する方が“真面目”と評価される職場ありますよね…
しかし、そのような働き方では、必要な資源(時間や労力)ばかりが膨らみ、成果とのバランスは崩れます。
そこで、著者が勧めるのは、「今の会社でどう評価されるか」ではなく、「労働市場でどう評価されるか」という視点。
転職市場やフリーランス市場では、限られた時間でどれだけの成果を出せたか?つまり生産性の高さが評価されます。

長い時間をかけてできる成果だったら、誰がやっても大差ないですからね。
故に、「会社に合わせて働く」のではなく、「市場で評価される働き方を身につける」ことが、これからの時代には重要でしょう。

転職して、市場が求めるのは「短時間で高い価値が生み出せる人(+更に会社に時間を投下してくれる人)」だと実感します。
家庭を持つ今だからこそ、長時間働くのではなく、限られた時間で結果を出すという意識に切り替える必要がある。
そんな思考の転換を促してくれる一節でした。
制限された環境こそ、生産性を育てる“道場”

「忙しい=悪いこと」と思いがちですが、著者はむしろ“自ら制約をつくる”ことが生産性を鍛える近道だと説きます。
ワーキングマザーが高い成果を出せるのは、放っておいても時間が不足する環境に身を置き、否応なく工夫を重ねているから。
たとえば、子どもがいる生活について、下記であれば夫婦の時間を投入しても限界がくるのは想像に難くないと思います。
- 実家が遠く祖父母の助けがない
- 子どもが複数いる
- 保育園や職場が遠い
- 夫婦の海外出張が多い、もしくは単身赴任である
そして、時間が全くない状態になれば、いよいよ「限られたリソースで最大の成果を出す」ことを無理やりでも考える状況に。
人によっては、下記のようなことを進める方もいるでしょう。
- 掃除ロボットに掃除させる
- ネット宅配を利用する
- 職場や保育園に近い場所に引っ越す
- 在宅勤務を会社に申し入れる 等
上記のような、時間がこれ以上使えない状態こそが、生産性を考える、つまり生産性を上げる機会に恵まれた状態だと著者は説明します。
そして、自分の時間を取り戻すためには、生産性を上げる機会を意図的に作りだす必要があり、下記の方法を提案しています。

それぞれの詳細は、ぜひ本書で確認してくださいね。
ちきりん流・自分の時間を取り戻す具体的な方法
まずは働く時間をへらそう!
- 1日の総労働時間を制限する
- 業務ごとの投入時間を決める
- 忙しくなる前に休暇の予定を立てる
- 余裕時間をたくさん確保しておく
- 仕事以外のこともスケジュール表に書き込む
全部やる必要はありません!
- 「すべてをやる必要はない!」と自分に断言する
- まず「やめる」
- 「最後まで頑張る場所」は厳選する
- 時間の家計簿をつける
上記の“自作の制約”は、子どもの予期せぬ発熱や家事の割り込みで鍛えられたワーママの戦術を、他の人が再現できる形に落とし込んだものとも見えます。
今、「時間がない」と嘆くより先に、自ら制限を課して時間を“取り戻す”意識こそが、これからの働き方を強くしてくれると本書は教えてくれます。
この本がオススメな人

本書は、特に次のような悩みを抱えている人にこそ手に取ってほしい一冊です。
家庭と仕事の両立に追われつつ、時間もキャリアも“今のままでいいの?”と迷う30代の会社員には特に刺さる内容だと思います。

本書の“時間の使い方の再定義”や“評価軸の切り替え”という問いが、“自分の軸の再構築”を促してくれるでしょう。
この記事のまとめ

『自分の時間を取り戻そう』は、今の働き方や生活に違和感を抱えている人にこそ読んでほしい一冊です。
著者・ちきりん氏が語る「限られたリソースで成果を最大化する」という生産性の考え方は、AI時代を生きる私たちに欠かせない視点です。
とくに、育児と仕事の両立に悩む親世代にとって、本書は“時間の使い方”を根本から見直すためのヒントが詰まっています。
忙しさに埋もれがちな日常で、「今こそ、生産性を見直すチャンスだ!」と気づかせてくれる力が、この本にはあります。

内容が気になった方は、ぜひ本書も手に取ってみてください。
「自分の時間を取り戻そう-ゆとりも成功も手に入れられるたった1つの考え方」はオーディオブックサービスaudiobook.jpを使えば、家事や育児をしながら聴けます。
audiobook.jpに興味のある人は、コチラの記事も参考にしてください。


